歯列矯正をお考えの方へ
矯正歯科治療とは、歯並びや咬み合わせの乱れを整えることを目的とした治療です。
歯並びを治す上で重要なのは、見た目を整えることに加えて機能性（上下でバランスよくきちんと噛める）も整えることです。
なぜなら、食事がしづらくなってしまったり、力のバランスが崩れて歯にヒビが入る・かける・神経がダメージを受けるといったトラブルを招く可能性があるためです。
こういったバランスの不均衡は、若いうちは気にならないこともありますが、年齢を重ねるほどに不調が強まっていきます。
例えば、
・顎が痛い、顎関節症のような症状
・歯並びが戻ってきてしまう
・歯の色が変わってきてしまう
・うまく噛めないので食事がストレスに感じる
・ちょっとした衝撃で歯が欠けてしまう
といったトラブルが考えられます。
生涯美しく・健康的に過ごしていただくためには、見た目と機能性の両方をしっかりデザインすることが非常に大切です。
対象となる歯並び
正しい歯ならびのことを「正常咬合」と言います。これに対して、歯ならびやかみ合わせに問題がある状態を「不正咬合」と呼びます。
不正咬合は見た目の問題だけでなく、上下の歯が正しい場所でかみ合わないため、食べ物をうまくかめなかったり、歯としての役割が機能していない状態にあります。
矯正治療は「子どもの治療」というイメージを持つ方も意外に多いのですが、年齢問わず大人の方も歯並びを治すことができ、ここ数年で特にご相談も増えてまいりました。
歯列矯正に年齢制限はありませんが、治療を始める前にお口の中を健康に保っておくことが必要です。虫歯や歯周病がある方は、必ず治療が必要となりますので歯科医師の診断を受けてください。
年齢別：矯正治療の進め方
当院では、お子様から大人の方まで、年齢や症状に合わせた矯正治療をご提供しています。
様々な器具・治療方法の中から最適な方法をご提案させていただきます。
1.小児矯正（乳歯〜混合歯列期）
子どもの歯（乳歯）から大人の歯（永久歯）へ生え変わる時期は、あごも大きく成長します。この成長の力を利用して、バランスの良い骨格になるようなアプローチができるのも小児歯科の大きなメリットの一つです。
またお子様の場合、審美性の向上というよりも噛む力の改善・発育の促進・発音改善といった成長に伴う「機能改善」という意味合いが強いため、医療費控除の対象となることが期待できます。
大人よりも歯が動くのが早いといった特徴もあり、大人になってから矯正をはじめるよりも、子供のころから始めた方が短い時間で、体の負担も少なく、費用もおさえられる場合が多いです。
ただし、お子様の矯正治療で一番難しいのは「タイミングの見極め」です。治療法によっては年齢が限られるものもあるため、主治医に早め早めに相談しておくことをお勧めします。
①保険でできる小児矯正（5〜10歳前後）
5歳から10歳前後の限られた期間は「成長のゴールデンタイム」と言われ、少しのサポートで顎や歯の成長を正しく導くことができます。
保険が適用されるので、すべての矯正治療の中で費用をもっとも抑えることができます。
②小学校中学年〜の矯正治療
小児矯正は大きく２つのステップに分かれます。
まずは歯が生えてくるスペースを確保したり、土台を整えるための「Ⅰ期治療」を行い、生え変わりのタイミングを見て、見た目の仕上げのための「Ⅱ期治療」を行います。
Ⅰ期治療では取り外しができる「ねじ式の装置（拡大装置）」や「マウスピース」などを使って治療を行います。
成長している時期のお子さまは、これからはえてくる大人の歯が並ぶためのスペースを広げてあげることで、歯がまっすぐ生えやすくなり、きれいな歯ならびになることが多いからです。
Ⅱ期治療は大人の矯正と同様で、ワイヤーやマウスピースを使用して歯を動かし、歯並びを整えていきます。
2.成人矯正（永久歯列期）
大人の矯正では、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置をつけて、ワイヤーで歯を少しずつ動かす治療をします。あごの骨や歯ぐきが健康であれば、年齢に関係なく治療を始めることができます。
ただし、歯がとても重なってガタガタしている場合は、治療のしやすさや仕上がりのために、何本か歯を抜くことが必要になることもあります。（ケースによって異なります）
大人の矯正で使用する装置は、大きく分けて
・ワイヤーを固定する「ワイヤー矯正」
・透明なマウスピースを使う「マウスピース矯正」
という2つがあります。
ワイヤー矯正は、見た目が目立つ、装置がお口の中に当たって痛い、しゃべりにくいといった点でハードルが高く、治療を諦めた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
こうしたデメリットを少なくしたのが「マウスピース矯正」です。
目だたない・取り外せる・痛みが少ない・歯並びの3Dシミュレーションができるといった、これまでの矯正では難しかったことが実現できるようになりました。
成人矯正では、主にこの２つの装置を使用して、部分矯正・全体矯正を行います。
☆部分矯正
気になる場所をピンポイントで治す治療です。
前歯だけ・下の歯だけなど、場所を限定するため短期間で治療が終わり費用もやや抑えることができます。
☆全体矯正
全体的に歯を動かし、見た目とバランスを整える治療です。
全体を整えることで見た目の仕上がりも非常に良く、噛み合わせまでトータル的に改善することができます。